出演: デヴィッド・ブランドン, バーバラ・クピスティ, ドン・フィオーレ, ロバート・グリゴロフ
監督: ミケーレ・ソアヴィ
ミケーレ・ソアヴィ監督の80年代臭が充満する傑作。
ダリオアルジェントの秘蔵っ子。マリオ・バーヴァ、ルチオ・フルチ等、マカロニホラーの正当な後継者です。
といっても最初の劇中劇、フクロウのお面をかぶり、ダンスバトルを繰り広げるシーンが
ダサすぎて一度挫折します。しかし一人目の犠牲者がでるところから俄然面白くなりますが。
ホラー映画の基本を踏襲しており、意外ときっちり作ってあります。
ホラー映画のお約束
その1 警官が使いものにならないというか間抜け。
その2 ドアを閉めてもなんの防御にもならない、ドア越しにぐさり。
その3 拳銃が最強の武器にならない、かならず効果がないか、落とします。
この辺の基礎はしっかり押さえてあります。
舞台はあるミュージカルの練習シーンから始まります。
マリリンモンロー風の衣装の女がサックスを吹き、それにあわせ、フクロウ仮面の男が登場する。そして変な創作ダンス。くどいようですがほんとダサいです。私はここで一度くじけました。
プロデューサーとスポンサーとの意見の相違、主演女優の葛藤等よくある設定で始まり、惨劇の世界へと扉が開かれます。犯人はフクロウ仮面の男らしいのですが、本来の役者ではない人間が中に入っているらしい。
劇場に取り残された出演者が監禁され、
劇場内で犯人との行き詰まる攻防。この辺のスピード感はすばらしいです。
床に半身がうまり、ひっぱりだして助けたと思ったら、下半身がなかったとか、ドアをしめてとりあえずやり過ごしたとおもったら、ドア越しに刺し殺されるとか、なかなかテンポよくグロシーンが続き、最初の狂言回しにしか、見えなかったフクロウが立派なシリアルキラーとして襲い掛かってきます。次々と血祭りにあげられる出演者たち。
そして一仕事終えたフクロウ男は死体を舞台に並べ壮観なシーンを満喫します。
(ここで死体の一人が瞬きをするという、大失態をやらかしますが、後のリマスター版では
修整されているようです。)
ただ感心するのが、時代背景ももちろんあるんでしょうが、CGではなくスタントによる演技。フクロウ男が高い足場から腕一本でぶら下がるシーンがあるのですが、実際にぶら下がっているらしく、筋肉の動きからその高さが伝わってきなす。たぶん高さ的には2~3mくらいでしょうが、非常にリアルです。そう考えると過剰なCGも考えもんです。このシーンだけはフクロウ男をかっこいいと思っちゃいました。
最後は死体を並べて悦にいってるフクロウにドラム缶の火を浴びせて勝利となるのですが、いかんせんここの後のエンディングにいたるまでの処理がまずい。まず犯人の動機が明確じゃない。というか犯人の正体が本編初登場の人物。ままホラー映画にはよくある展開なのですが、中途半端に犯人の背景を説明しちゃってるので若干消化不良ぎみ。
犯人は精神科に入院していた人物。見直すまで動機忘れてましたが。
ジャーロお得意の唐突な犯人
その他有名どころと比較すると、スポットの当たらない作品ですが、一見の価値ありです。
1986年作品