出演: ローラン・リュカ, ジャッキー・ベロワイエ, フィリップ・ナオン,- ジャン=リュック・クシャール, ブリジット・ラーエ
- 監督: ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
邦題で半分は損をし半分は得をしているこの作品。その名も変態村。(どちらかといえば狂人村?)このタイトルじゃなきゃ、ほぼ無名のベルギー人監督映画、スルーされるのがオチでしょう。(原題はCalvaire、ラテン語でゴルゴダの丘、あのキリストが処刑された丘のことだそうです。)主人公は若干性格に難ありの三流歌手マルク
おまえのほうが変態だろうといわんばかりの衣装で、老人ホームの慰問ライブを行います。
ライブを終え、楽屋に訪れた老婆。とまどいながも適当にあしらい次の街への出発の準備に取り掛かります。ただ問題なのは、男女問わずもてもて設定の主人公。この男ベルギーでのもてスタンダードなのか???
まあ罰があたったとは言わんが、道に迷いその上バンまで故障させてしまうマルク。迷い込んだ村こそいわゆる変態村。いい感じの老人バルテルに救われるが 災難の始まり 。
『変態村』の名に恥じぬ住民バルテル、彼にはマルクが村から逃げた妻のグロリアに見えるよう。
絶世の美青年でもない彼はどう見てもそう見えません。
のちに女装させ頭を丸刈りにしても、そう見えるのだから、彼には違う世界が見えているのでしょう。
翌朝、マルクはバルテルが車の中を荒らし、その上バンを破壊しているところを目撃します。これはやばすぎます。当然逃げだそうとしますが、車は故障するわ、道には迷うわこの時点でバッドフラグがたっています。いわゆる朝チュンで表現されますが、マルクは彼のものになったようです。あー朝日がまぶしい。翌朝バルテルがクリスマスツリーを採りに行き『逃げようとしたらこの斧でたたき殺してやるはははは、』と微塵も笑えない冗談をよそにマルクは逃亡を計ります。簡単につれもどされるのですが・・・
妻が帰ってきたと思い込みハイテンションのバルテルは、マルクを納屋に磔にし、村の酒場へ現れて「彼の妻」が戻ってきたと豪語します。村人はめったに村へ来ないはずのバルテルの異常を察っしますがそこは変態村、バルテルが去るとピアノで不協和音の曲をかき鳴らし、バーにいた男たちが奇妙な踊りを踊りだします。
そして、ことの真偽を確かめにいった村人に一応女役のマルクさん。輪姦されてしまいます。
とにかく村人全員がマルクを美女にみえるのが『変態村』の所以か
マルクは村を脱出し、追ってくる村人から逃げだします。パッケージにもなっているはりつけ死体をくぐりぬけ、底なし沼を通り抜けると最後まで追いすがっていた村人が足を踏み外し沼に飲まれます。村人はマルクに 『愛しているか』と問いかけます。そして『愛している』と答えるマルク。同性愛であっても納得できるエピソードがあるならいざ知らず。へんな服はきせられるは、髪は丸刈りにされるは、板に打ち付けられるは、真実の愛とは的な裏テーマもないし、そんなとこでやさしさみせるキャラでもないんだよねー。地味にクズヤロウだし。と一度みりゃもういいやの本編を上回る狂気の特典映像、短編作『ワンダフル・ラブ』おそらくこちらが好きな人が多いのでは。ねじのはずれまくった傑作です。狂気度では負けず劣らず、いやこっちが上か。あるアパートに一人で暮らす孤独な中年女。
誕生日らしく、部屋を飾り立て、男性ストリッパーを調達します。そこは仕事、ひととおりのパフォーマンスを終えギャラを要求します。ところが女ときたらケーキの作り方がどーの、イタリアのゴンドラがどーの、話しをはぐらかしなかなかギャラを払おうとしません。きれる男。ゆうに事欠かいてケーキ食ってたフォークで男ののどを突き刺します。血を噴出し絶命する男。最初勢いで殺したのかと思ってたら、後で見返すと殺す気でやってます。刺した後なぜか笑いを押さえられない女。
その後、男の死体と恋人同様の生活をする女。
すっかりラブラブ気分。いつも一人分の牛タンも今日は二人分。肉屋の主人もあきれ顔で、あまりのめりこむなと忠告します。ってこの肉屋の主人本編のバルテルに見えるんだけど、勘違いかな。
そこで奥から使用人を呼び、牛タンを用意させるバルテルもとい主人。この使用人がまた・・・・アルピノの上、坊主頭が歪んでるという謎設定キャラ。そのうえ一度聴いたら忘れられない『マダムの歌』、見とれる小僧(って見とれる要素はないのですが)に、はりせん一発。もうなんだか、一応ギャグシーンなのでしょうか。二人分の牛タンをいそいそ料理するマダムもとい、狂女。ちなみにこの牛タン普通の日本人なら想像できない様相を呈していまして、まんま、牛の舌。切ってもいなきゃまして焼き肉屋ででてくるような形状もしていません。死体と二人向かい合わせで楽しいディナー。当然支えがないで、男は倒れこみます。その様子を楽しそうに見る狂女。ある意味『ネクロマンティック』より飛んでます。そうはいっても相手は死体。当然倦怠期が訪れます。(倦怠期というのか・・・)
肉屋の主人に相談するわ、ストリップ譲呼ぶは周りの想像をはるかに超え、狂気は度を越えていきます。
そして、そこでばったり肉屋の小僧さん。今度は僕が配達しますよと・・・・。
新しい獲物をみつけたのか、死体の後始末を始めます。悪臭がすごいと苦情がはいり、またキャラの濃い管理人が部屋を訪れます。あまりの悪臭に逃げ出す管理人。
その後いそいそと肉の包みを抱え訪れる肉屋のアルビノさん。さては彼はどうなってしまうのでしょう。
というところでラスト。優雅なフレンチポップで幕が閉じます。
2004年作品
それにしてもこの主演女優。あのムカデ人間2すら超えるキャラクター。ほかに出演作あるのかな?
ワンダフル・ラブ