監督 | ミヒャエル・ハネケ |
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脚本 | ミヒャエル・ハネケ |
製作 | クリスチャン・バウテ クリス・コーエン ハミッシュ・マカルパイン アンドロ・スタインボーン |
製作総指揮 | ナオミ・ワッツ ヘンガメ・パナヒ ダグラス・C・スタイナー |
出演者 | ナオミ・ワッツ ティム・ロス マイケル・ピット ブラディ・コーベット デヴォン・ギアハート |
世間では胸糞映画と誉れの高い、この作品。正直自分的にはそうでもなかったような。『マーターズ』のパスカルロジェ監督が思い切り批判していましたが、監督のミヒュエル・ヘネケ、ホラー映画が大嫌い。ホラーファンに対するいやがらせとして、途中反則的な仕掛けをしています。いわゆるアンチテーゼとして撮ったのがこの作品。全編悪意に満ち溢れています。
リメイクだからかなあと、思い、『オリジナル版』も買いました。パッケージはオリシナルのほうがいいけどね。正直ほぼ出演者以外変化がないのにびっくり。リメイクする意味はあったんですかね。
いわゆるヨーロッパ映画をハリウッドでリメイクする際、おかしな勧善懲悪を盛りこもうとするがゆえに、肝心の部分がすっ飛んでる場合が多いのね(『マーターズ』なんかいい例。だれも最後の爽快感なんてのぞんじゃいないんだって)ただこれは、監督自身のリメイクなにかある・・・・ということで、自分なりの解釈
前作が、登場人物と観客に対する暴力だったのが、今回は出演者に対する暴力が加わってる気がする。とにかく顔の表情、セリフ、立ち位置すべてが一緒。早い話役者に演技させていない。(オリジナル見せて、このとおりやってって感じ)さらにナオミワッツ始め、とにかく俳優顔なので、トレイラーにのって別荘にいく途中、クラシックの作家当てクイズをいそしむ等いろんなとこが、さまになってる。
オリジナル版じゃ『おまえらがそれやるの????』的な、違和感があったんだけど、なまじ役者がいいだけに、フィクション感がはんぱない。これがいまいち不快感を感じれない理由かも。ごくごく一般家庭に、傍若無人の侵入者という
シチュエーションが弱い。卵のくだりで切れるナオミワッツも最後まで好感度を崩さない。
インタビューでナオミワッツが『出演できて光栄です』とか言ってたけど本当かなあ。とそうまで言うなら『オリジナル』の記事を書けということになるんだけど、最初に見たのはこっちだから、あくまでもこちらで。
バカンスを利用して、別荘へ家族三人で向かうところから始まる。途中でクラシックの作家あてクイズ。
この面子じゃなきゃ、あ゛~ってなるとこだけど、いかんせんさまになってる。子供まで可愛い。言い換えると、一般人らしくない。
そして知り合い家族を見かける。声をかけるもなんか様子が変(もうすでに寄生がはじまってたのね)ここでオリジナルは『感じ悪いわね』と悪態をつく、上品なリメイク版は、そんなことは決して言わない。
そして別荘到着。トレイラーが家に入っていくシーンまで全く一緒。荷解きを始める家族。そこへ見知らぬ青年が、『卵をください』きもちよく卵をわたす、ナオミ
ところがデブ、玄関で卵を落としやがる。そして『またください』
それでも気持ちよく卵をわたすナオミ。そしてまた落下、またくださいの繰り返し
あげくのはてに、携帯まで水没させる始末。わざとなのか、伏線なのか、完全に切れるナオミ
そこへもう一人の男が来訪。妙に礼儀正しく、しかしところどころ失礼。口八丁手八丁でだんなに説明するも、無礼な発言。そして旦那もとりあえず卵やってかえしちまえというも奥様は納得しない。そんな旦那も最後はキレて、鉄拳パンチ。
いいゴルフクラブですねといって旦那を殴打。飼い犬を殺して死体探しゲームをするやりたい放題が始まります。これ無抵抗な主人公家族に逆にいらいらしてくるって
意見があったものの、あくまでもオリジナル版の話。リメイク版は全体的に演劇的なのでその辺が希薄です。
子供が半人質状態といえほぼ無抵抗。犯人ペアの二人はわけのわからないことをほざき始めます。デブの家族がどうやら、こうやら(どうも、うそらしいですが)
そして物騒なことを語り始めます。『この家族が明日まで生きているか賭けませんか?』ここから本格的な悪どさを発揮しはじめるのですが
どちらに賭けませんか?
これ見てる人間に言ってるんですよね、カメラ目線で。この辺から映画論理が破綻しだします。(誰が登場人物なのか、見てる人間もこの暴力に参加しているのか)
あえてやばいのは、子供殺害シーン。もちろん死体を含め直接描写はありません。ただ、テレビにとんだ血、床に倒れた足だけが見えている構図。何がおきたか安直に想像できます。
子供を殺された奥さんが、勢いで一人を銃殺します。ここがこの映画の肝、ここで完全に破綻します。なんと犯人はリモコンを探し出し、巻き戻しを始めるのです。
結果場面は奥様が撃ち殺す前まで戻されます。(正直このへん来ると、どうがんばっても理論的な説明ができず リアリティが極端に薄れます)
ここまでくるど当然バッドエンドしか望めず、家族全員死亡という、エンディングへ一直線に進みます。
その間、水没した携帯をドライヤーで乾かし、警察に電話したり、試みるのですが、逆転しても巻き戻されるんじゃなすすべがありません。巻き戻しに被害者家族が気がついているのか。いやナオミワッツがさっき反応しなかったことを考えると劇中外ということだろうな。
結局朝方、犯人にボートに乗せられた奥様が『もうあきた』のひとことで海に突き落とされ絶命します。もう賭けもへったくれもありません。
そして次の犠牲者に目星をつけ、そのうちを訪れます。理不尽な暴力によるバッドエンドと全く救いのないストーリーですが全体的にリアリティがないのでそこまで、胸糞悪さは感じません。
ただし胸糞悪いとすれば、ハネケあんただよ
まず、エンターテイナメントとして視聴者を楽しませる気もなく
ウォルポールの銀色の仮面の時代からあるような、理不尽な訪問の焼き直し。
ホラー映画を否定したいだけで撮ったんだとしたら、とんでもない話だ。よくよくタイトルを思い出してください。ファニーゲームですよ。
2008年作品
予告編